極鬼舎
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のさか・さんぞう
1892年、山口県萩市生まれ。1919
年、イギリス共産党、日本共産党
に参加。三・一五事件で逮捕され
るが眼病で仮釈放。モスクワ、ア
メリカを経て戦時中は中国廷安で
活動。93年、101歳で死亡。
モスクワの同志を密告して生き延びた"日本共産党の顔"
戦前からの一貫した歴史を誇る日本共産党のシンボルだった野坂参三は1993(平成5)年に101歳で死去した。これを共産党の機関紙『赤旗』は社会面の片隅で小さく報じただけである。野坂はこのほぼ一年前に共産党を除名されていた。当時、野坂は共産党の名誉議長にあった。除名の理由は同志を密告したというもので、『赤旗』は「恥ずべき行為」であると糾弾した。
野坂の"密告"問題とは、54年前の39(昭和14)年、しかもモスクワ時代のことである。この頃、モスクワのコミンテルンにはには世界中から共産党員が集まり、そこには日本人共産党員もいて、野坂参三と山本懸蔵が中心だった。野坂はソビエト内務省人民委員会(NKVD)と呼ばれた機関に、山本がスパイだと密告する手紙を送ったのである。NKVDとは共産党内部の粛清担当する機関である。当時のソビエトはスターリンの大粛清時代である。「反革命分子」「人民の敵」「スパイ」という名目で数百名単位とも言われる大規模な粛清が行われた。
その最中、野坂は山本懸蔵がスパイであることの疑惑を指摘して「ある種の不透明さを感じた」と告発する手紙をNKVDに送った。野坂の告発はほとんど事実に反するものだったが、この手紙によって山本は逮捕され、ソビエト最高裁の軍事委員会の法廷に引きずり出された。山本は自白は拷問によるものであると無実を主張したが、当時のソビエトでそれが通るはずはない。山本はソビエト市民になっていたから国家反逆罪で死刑が宣告され、翌日、銃殺された。
【早くからあった密告説】
野坂が山本を"売った"のではないかという疑惑は戦後早くから口にされていた。はじめは病死とされた山本の死に関して、野坂の説明があいまいで不自然だったからである。
当時、アメリカにいた野坂は、わざわざアメリカからこの密告の手紙をモスクワに送ったが、そうする理由はなんだったのだろうか。同志を"売った"理由については諸々語られている。この時代はスパイの告発はほとんどノルマ化していて、他人を密告しなければ自分が疑われた。とりわけ野坂たちのような外国人はスパイ疑惑の標的だったのである。野坂の妻はモスクワにいて、その身を守るための密告だったのではないかとも言われる。そもそも野坂がスターリンの大粛清を無傷で生き残った自体、奇跡だと言われているのである。
慶応大学を卒業して名家の令嬢を妻にしていた野坂が、尋常小学校卒業、叩き上げの共産主義者だった山本懸蔵とは肌が合わなかったともされる。治安維持法により日本で逮捕された野坂は眼病の手術をするという理由で釈放され、31年(昭和6)そのまま日本を脱出してモスクワに渡っている。これもまた奇跡だとして、のちに「野坂-警察のスパイ説」がくすぶる理由になった。
「何も言うことはない」
野坂がモスクワに密かに渡ったとき、その世話をしたのは先にモスクワにいた山本懸蔵夫妻だった。山本の内妻は関マツという女である。マツは芸者上がりで女傑肌の女だとされている。
野坂の密告はそのマツをも対象にしたものだった。マツは死刑を免れたが、その後は流浪を余儀なくされ、シベリアの食堂の皿洗いなどをして生き延びた。日本への帰国を訴えたが受け容れられず、60年代の半ばに死んだとされている。野坂は敗戦の翌年、夫婦ともども凱旋将軍よろしく日本帰国した。
密告の手紙の存在が明らかになって共産党は13回にわたって野坂を査問しているが、その内容は漏れてこない。日本共産党の除名処分の決定に「何も言うことはない」として野坂は口をつくんだ。その後はマスコミの取材にも高齢を理由にして姿を現さなかった。野坂には共産党員として特別の理論も実績もないが、党内権力だけは外さないというテクニックだけはあった。野坂にはゾルゲ事件への関与なども問題にされているが、最大の謎は「共産党員は死体になるか転向しなければ出ることができない」といわれた治安維持法下の刑務所を「眼病の治療」というだけの理由で出獄できたことである。これも謎のままである。
(桃井四六氏文面より転載)
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